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ヒトコトなつぶやき:
怪談(?)
2ちゃんねるオカルト板における夏の風物詩『百物語スレッド』にて開催された、怪談百物語。いつもは読み手側でしたが、今年は語り部が少なく運営が大変そうだったので3本ほど投下させていただきました。
しかし終盤に差し掛かってもなお語り部が足りず「このまま完走できずに終わってしまうのかー!」と思いながら、一気に書き上げた一本がコレです。
残念ながら(?)投稿する前に九十八話、九十九話と埋まり(百話目は運営さんの一人が素敵なオチを用意しておいてくれました)ボツにしたものなので、ここに晒します。
内容的には恐怖要素は全くありません。「百話達成までにあと3本足らない!」というあたりで書いたものなので、フィナーレに向けて「こんなのもいいかな」と書いたものですので。
来年の『百物語2017』に回そうかとも思ったのですが、まぁ僕自身が覚えているかも何をしているかも生きているかもわからないので、ポイっとね。
怪談の語り手口調(「ほん怖」とかの心霊番組の視聴者投稿再現ドラマのナレーション風)にしてあるので、いつもの僕の書く文体とは異なりますが、お目汚しご容赦を。
あと、わかる人にはわかってしまう話なので「この文章はフィクションであり、実在の人物とは一切関係ありません」。ということで一つ(笑)。それではご笑覧ください。 ―――――――――――――――――― 『番犬』
高校時代からの付き合いがある友人Hとは、もう人生の半分以上親友としての付き合いがあります。お互いの家に泊まり込んでは音楽やゲームの話をしたり青臭い人生を語ったり、つかず離れずという心地よい関係で今まで過ごしてきました。
知り合って間もなくの頃、初めてHの家に遊びにいったのですが、ガレージに繋がれた茶色い毛並みの犬がいるのを見つけた私は
「へーHん家って、犬飼ってんだ」
と玄関の鍵を開けるHに言いました。
「うん、雑種だけどね。番犬にもならないバカ犬ちゃんだよ」 「バカ犬って(笑)」 「あいつ、知らない人が来ても吠えないからなー」 「名前は?」 「ジャック」
そんな会話をしたことを覚えています。
それからも何度もHの家に遊びに行くこともありましたが、別段ガレージに行く用事もありませんし、ジャックさんの散歩に付き合わされることもなく、飼い主であるHとの関係とは対照的に、私とジャックさんは縁がないまま、気がつけば十何年もの月日が流れていました。
同級生ですから、当然同い年なわけですが、二人とも立派なおっさんになって酒を飲んでいるときに「そういえばHんとこのわんこさんはどうしてる?」と何気なく話題にのせてみました。
私は、その話題を出した直後に、自身が犬を飼ったこともなく、犬に対する知識もないことを恥じることになるのですが――Hは少し寂しそうに笑って「もう何年も前に死んじゃったよ」と言いました。
晩年は歳を取って足が弱くなり散歩も嫌がるようになったこと。
最後は耳も目も利かなくなっていたということ。
弱っているから家の中で過ごさせてやりたいと御母堂が望んだものの、そう躾けられていたからか家にあげても玄関から上がろうとはしなかったこと。
最期は毛布に包んであげて、家族に見守られながら生を全うしたこと。
人間でいえば90歳近くだったので、大往生だったということ。
好きだったオモチャと毛布とゴハンと一緒にペット斎場でお骨にして庭木の下に弔ってあるということ。
そんなことをHは話してくれました。
「寒いんだから家に上がってもいいんだって、持ち上げてやっても玄関に降りちゃうんだよ。仕方ないから玄関にダンボールとかマットとか毛布おいてやったりしてた。バカ犬だったなあ」
苦笑しながらそう語ったHに、私は胸が締め付けられるような思いがしました。
そんなことがあってから、また数年後。といいますか数年前の出来事です。
Hも私もとっくの昔に社会人。Hは実家を改築して、ガレージだったところにはなれを一軒建てました。今はまだ大丈夫とはいえ、引退して同居している両親に階段のある家で暮らすのは大変だろうということで建てた、バリアフリーの平屋です。
その日は、件のはなれに、昔なじみを集めて酒を飲みながらの麻雀大会でした。ヘボ麻雀をワイワイと打ち続け、気がつけば時間はもう深夜2時過ぎ。徹麻をするほどの麻雀好きでもない私達は、三々五々寝る支度をはじめました。
といっても学生時代のように適当に転がって雑魚寝というわけではなく、ちゃんと布団を敷いて、麻雀部屋に一人、手前の部屋に二人(うち一人は私)、Hは母屋の自分の部屋へ、という形におさまりました。
ヘボ麻雀で慣れない頭を使い、酔いが回っていたこともあって、私は早々に寝付いたのですが、その晩、奇妙な夢を見ました。
「何か」が寝ている私の頭の周りを歩いている気配がするのです。
たし、たし、たし、たし。
たし、たし、たし、たし。
(なんだろう、隣で寝ている友人がトイレにでも行っているのかな?)
そんな考えが最初に浮かんだのですが、人間にしては足音が軽い。それにいくら灯りがないからといって頭の上をウロウロする意味がない。
と、色々考えていると「ぬっ」という湿ったような感触が私の額に付着しました。そして生温かい吐息が断続的に伝わってきます。慌てて目を開けて(夢の中ですが)枕越しに首を逸らしてみると、犬の顔と目があいました。
鼻の周りが白く、他は茶色の毛につつまれた顔。私は直感的に「あら、この子ジャックさんだ」と思いながら
「お前さん、こっちのおうちにはあがっちゃってよくなったの?」
と、ジャックさんに話しかけました(夢の中でです)。
するとジャックは「ふん」と鼻を鳴らしてどこかに去ってしまい、私はそこで目を覚ましました。
間もなくして「朝飯食いに行くぞー起きろー」とHがはなれに来たので、私は「な、H。ジャックさんって鼻の周り白い毛だったっけ?」と訊ねました。
するとHはちょっと驚いた表情をして
「そうだよ。鼻からデコまでが白い。秋田犬の血が入ってたから」 「はー、そっかそっか。ご生前にまじまじ見たことなかったからなあ」
「でもなんで突然ジャックの話?」 「んー。なんか見回りに来たみたいよ。ここ(はなれ)って彼の縄張りだった?」 「まぁそうかも、ジャックがいたガレージだったとこだしね」 「 夢だと思うんだが『なんやこいつ』みたいな感じで頭の上グルグル回られたよ(笑)。あとデコに鼻を押しつけられた」
そんな話をしながら布団を片付けていると、同じように布団を畳んでいたHは
「ジャックは死んでもバカ犬だなあ。夢に出るなら散々世話してたお袋か、俺んとこに来ればいいのに。あいつまだ一回も来やしないんだから」
そう言って笑いました。
社会人になってからの短い夏休み。そんな日の出来事です――。
【了】
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| [2016
年
08
月
29
日-
01
:
57
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